ご相談のきっかけとプロジェクトの背景
ダイバンコーヒー様は、大阪・守口市に本店を構える、こだわりのコーヒーと本格的な食事を提供する喫茶店。
今回施工を担当させていただいたのは、その2店舗目となる新店で、大阪城公園前の複合施設内(ナノニワ)への出店プロジェクトでした。
たまたまご縁があり、打ち合わせで本店を訪れた際、「今、新店の建築で困っていまして…」とご相談いただいたのがきっかけ。
その瞬間、店内を見渡して、ふと胸が熱くなる感覚がありました。というのも――このお店、以前に訪れたことがあったんです。
そしてその時、一緒にコーヒーを飲んでいたのは、先日旅立った大切な友人でした。
何気ない夜に交わした会話と、あたたかな一杯。あの日の光景が一気によみがえり、
「これは、どうしてもやりきらないといけない仕事だ」――そう、自然と心に決まりました。
ところが、初回の打ち合わせで伺った内容は、なかなか厳しいものでした。
複数の事情が複雑に絡み合い、当初の設計計画はストップ。
複合施設全体の開業日が迫っている中、施工に着手できる目処は立っておらず、極めてタイトなスケジュール。
でも、だからこそ私たちにできることがある。そう感じた瞬間でもありました。

プロジェクト参画から計画の再始動。設備設計から全体を組み直す
そんな中、「工期がない中でも、ギリギリまで理想のお店づくりを追求したい」「なんとしても開業に間に合わせたい」というダイバンコーヒー様の強い想いをなんとか形にしたい――
その一心で、服部工業としてプロジェクトに参画させていただくこととなりました。
私たちが担当したのは、設備設計を含むすべての内装施工、施工管理。
しかも、ナノニワという公共性の高い施設内での工事ということで、指定基準や設計事務所・事業主・ゼネコンとの調整業務も不可欠でした。
オーナー様の理想を伺いながら、各関係者との橋渡し役を担い、設計内容の整合性や提出資料の確認、承認スケジュールなど、見えない部分の調整にも全力で向き合いました。
結果として、実際に工事に着手できたのは施設開業の約1か月前。
そこから、現場はまさに“時間との戦い”に突入することとなります。

次回の【後編】では、昼夜を問わず進んだ施工現場の様子や、完成直前まで続いた調整の舞台裏、そして迎えたオープン当日のエピソードをご紹介します。